卒業生からのメッセージ

パイプオルガン奏者
坂倉朗子 さん


 パイプオルガンという楽器をご存知ですか?教会や学校のチャペル、結婚式場、音楽ホールなどで時々見かけるあの楽器です。現在、私はパイプオルガン奏者としてコンサートでの演奏、礼拝や式典での奏楽のほか、パイプオルガンの指導に携わっています。

 実は、初めからこのような道を想定して歩んできたわけではありませんでした。小学生の頃に抱いた「将来は音楽を・・・」という漠然とした思いが、巡り巡って、気づくと現実になっていた、というのが実状です。

 オルガンの仕事を始める前は、大学卒業と同時に英語科の専任教師としてある学校に勤めました。教師という職業を意識したのは中高時代でした。ソフトテニス部に所属し汗と涙に多くを学んだこと、温かく導いて下さった諸先生方との出会い、英文法の面白さに惹かれたことが主なきっかけでした。

 ところが!申し分のない勤務先に巡りあい、日々やりがいを感じながらも、困ったことに、関西学院大学在籍中に出会ったパイプオルガンへの思い入れが、再び湧き上がって来たのです。考えた末、生徒たちのひたむきな姿からもらった勇気にも後押しされ、挑戦してみよう、と留学を決意するに至ったのでした。

 オランダのスウェーリンク音楽院(現アムステルダム音楽院)オルガン科に入学を許された時は心踊りました。歴史的オルガンの名器が数多く残るオランダでの学びは大変充実していました。留学中は、両親の理解と応援に支えられ、また、思わぬ所で教員免許が役に立ち、生活費の一部を現地で調達しながら学ぶ道も与えられました。神様も粋なお計らいをしてくださったものです。学生生活とは、求めれば求めただけ学ぶことができる、なんと豊かな時間でしょう。一度社会に出てからの留学だっただけに、ありがたみが身にしみました。教える立場から学ぶ立場へ戻ったことからも多くのことを教えられました。音楽院には5年間在籍してオルガンの演奏を学び、オルガンの指導者としてのディプロマを取得して同校を卒業しました。

 思えば、一切強制されることなく、好きでたまらないまま楽しく音楽を続けて来ることができたこと、そして本気で勉強をしたくなった時にそうできた環境に感謝しています。同じ頃、松蔭中高時代の同級生で切磋琢磨する友人たちに恵まれていたことも励みでした。大変なこともありましたが、松蔭中高のソフトテニス部で心身を鍛えられたことには様々な場面で助けられました。

 在学生の皆さん、学校生活で出会ったものは実に大きな財産になりますよ。Where there is a will, there is a way. 松蔭高校を卒業する際、恩師の一人、高2の時の担任のY.N先生から送られた言葉です。皆さん、どうぞ素敵な松蔭生活を過ごしてくださいね。

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