卒業生からのメッセージ

ペンション経営
中嶋典子 さん(旧姓:河本)


松蔭の皆さん、こんにちは!

 私は今、神戸から遠く離れた北海道の富良野でペンションを家族とともに開いています。皆さんのなかで富良野に来られたことがある方はどのくらいいらっしゃるのでしょう?ちょうど北海道の真ん中に位置する富良野は真夏には30℃以上、厳寒期には−30℃以下になることがあります。夏に咲くラベンダーの花が有名ですが、秋には雄大な十勝岳連峰の紅葉が楽しめ、一番長い冬の季節は雪や寒さが厳しいものの澄みきった美しい銀世界を体感することができます。

 私にとって松蔭での生活は毎日、通勤ラッシュと戦いながらも王子公園の坂道を友達とおしゃべりしながら歩くのが楽しく、高校の頃は肩より伸びた髪をわざと束ねずにいて、好きな先生に注意されるのが嬉しかったりしました(笑)。決して勉強が好きなわけではなかったのですが、なぜか学校が大好きでした。各教室、職員室、講堂、食堂、図書館どこにいても居心地が良く、日々松蔭に通うのが楽しかったように思います。

 ずっとお世話になった学年主任のK先生が卒業前によくおっしゃっていた言葉を思い出します。

「あなた方は松蔭という温室の中で過ごしてきたのだから・・・」

 目には見えないけれど温室という、明るくて穏やかな松蔭特有の雰囲気はまさしく先生方の愛情そのものだったんだなぁと卒業した今、つくづく思います。

 10代の貴重な時期に色々な人と友達になるチャンスが6年間もあったお陰で、卒業してもセンター街でばったり出会うと「あっ!久しぶり」と同じクラスになったことがなくても笑顔で挨拶できることはとても素敵だし、そこが松蔭生のいいところだと思います。

 学生時代にはそれが誤解され、「八方美人だ」とキツイ一言を友人から投げかけられたこともありますが、それも今思えば彼女なりの考えがあってのこと。自由な校風の中だからこそ、皆それぞれ自分なりの意思や考え方をしっかり持っていたように思います。

 そんな友人達に囲まれていたわりに、私自身はフワフワと毎日を過ごし(それが楽しかったのかも・・・)成績もパッとしない学生時代でしたが、今思えば、成績が悪いけど何を質問したらいいのか、自分が何をわかっていないのか、何をしたいのかもわからなかったかもしれません。

 もしかしたら、思春期のまっただ中にいる在校生の方の中にはそんな私のモヤモヤが分かる方がいらっしゃるかもしれませんね(笑)そんな時にもっと先生方に気軽に相談したり、友達に話を聞いてもらえばよかったんじゃないかと今になって思います。そして失敗を怖がらず色々なことにチャレンジすれば、ただ楽しいだけではなく、より充実した学生時代になっていたのでは・・・。う〜ん。もったいないことをしたかも!!とも思います。

 卒業後、松蔭の短大に進学しましたが、中学や高校の時よりも勉強が楽しかったように思います。2年間という短い時間だったからこそ学ぶことの面白さ、吸収することが新鮮で自分のパワーになったように思います。

 まさか、その頃も将来ペンションをするとは思っていませんでしたし興味もありませんでしたが・・・。人生いつ何がどうなるかわかりません。結婚を機にペンションの仕事をすることになりましたが、仕事内容はどんな仕事にもいえることですが、かなりハードです。でも、その大変さを表に出してはお客様は興醒めですよね。せっかくの非日常的な‘旅‘という雰囲気を大切にしながらも、親しい友達の家にいるような寛ぎ感を大事にしてお客様をお迎えしています。

 オープンして丸2年なので、まだまだ勉強中の身ですがお客様が「のんびり出来たので、又来ちゃいました♪」と帰ってきて下さる気持ちが、そう、まるで卒業してからも「つい懐かしくて、なんだか足を運びたくなる」松蔭に対する私の気持ちとどこか似ているような気がして嬉しくなるのです。

 7歳と5歳の子供、そして現在3人目を妊娠中の私は、バタバタした毎日を送っているのですが、何か始めるのに早いも遅いもない!「思いたったが吉日」をモットーにこれからも毎日前を向いて歩いていきたいと思っています。そして、ひそかに楽しみにしていることがあります。それは、いつか「まぁ!学生時代神戸に?」なんて楽しくおしゃべりしていると実は松蔭生だった!!というお客様と偶然に出会うことです。

 いつ実現するかわかりませんが、忙しく毎日を送っているからこそワクワク感や‘あした’を楽しむ気持ちを忘れないでいたいと思います。皆さんも是非、素敵な‘あした’を・・・。


あしたや ホームページアドレス http://www.tomarrowya.com

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