2006年度 グリーンエコプロジェクト〜グリーンエコキャラバン隊

最終イベント準備

イベント会場下見

いよいよ、2月下旬のエコイベントが迫ってきた。ただ、その前にするべきことはたくさんあった。まず、下見。と言っても、下見は1月下旬にはおこなった。いずやんこと泉谷繁樹様も、この日は奈良から来てくれた。ハーバーランドの中の、大きな長い通りを歩いていくと、その左手がすべて神戸阪急百貨店だったが、そこの1階中央吹き抜けホールを、イベント会場として貸していただけることになっていた。

その場所に到着した時、生徒達はみな言葉を失った。まず、考えていたよりもずっと大きく立派なスペースだったから。直径が17メートルもある円形スペースで、東西2カ所からエレベーターで人通りが流れ込んで来る形になっていた。百貨店のほぼ中央に位置する吹き抜けだったので、円形の中心あたりに立って上を見上げると、最上階まですべて見渡せた。
ただ、こんな素晴らしい会場を貸していただいても、本当に人が来るのだろうか。上階から、吹き抜け越しに下を覗き込む人や、エレベーターを降りるなりイベントに立ち寄ってくれる人や、そう言う人達が果たしているのだろうか。最初は、そう言う戸惑いを覚えた。
ただ、すぐに、何人かが、ここにパネルを置いてとか、あそこには工作コーナーを作ってとか、話し始めた。足で、寸法をとり出す者もいた。
やがて、誰が言うでもなく、みんなでエレベーターに乗って、上層階のデッキから、ホールを見下ろして、そこでもイベントのことをあれこれ考えた。

やがて、トイレに行っていた一人の生徒が、国産木材で出来た家具を見つけたと言って帰ってきた。そこからは急遽リサーチタイムになった。この百貨店の中で、間伐材とか、日本の木で出来た商品がどれだけあるか。生徒達は、いろんな売り場に行って、店員の方にいろいろ質問した。店の方も、わざわざ間伐材で出来た商品が置いてある所とかに連れて行って説明してくれたりもした。自分達で、間伐材で出来たお箸を見つけて手にする者もいた。木のボールプールを見つけた者もいた。いつの間にか、みんな、くつを脱いでボールプールで遊びだしたが、木のあたたかみと肌触りの良さを実感できた。
この日は、学校での企画会議の後、移動して下見に行ったが、結局、教室の中でいろいろ考えるよりも、実際に現地で考えるといろんなアイデアも浮かんだようだし、モチベーションも上がった。




気が付けば、もうかなり時間が経っていた。みんなで軽く夕食をした後、今度は、あらかじめ約束していた時間に百貨店に戻って、百貨店の販売企画の方と、イベント会場の打ち合わせをした。アドバシをレストランに置いてもらいたいというお願いもしていたので、バイヤーの方もおられた。
販売企画担当の方とバイヤーの方の厳しく真剣な視線の中、生徒達は、スライドを使って、この活動の思いや内容を伝えた。そして、あの立派なホールをイベント会場として貸していただくことが正式に決まった。後は、百貨店の方のご期待に添うように、計画を練ったり、準備をすることだった。

イベント企画会議

イベントに関しては、時には全員で、時には班ごとに何度も企画会議を重ねた。
話し合った内容は、@何をしたいのか A役割分担 B会場レイアウト

@まず、「どんなことをしたいか」では、誰にどんなことを伝えたいのかからもう一度じっくり考えつつ、具体的にどんなことをしたいのかを何度も話し合った。そして、その結果を企画書として神戸阪急百貨店の企画部に送った。そして、検討の結果、肝心な部分はすべて認めてもらえた。

A次に、4つの班それぞれの役割を決めた。
まず、どのアイテムを準備するか(作るか)を、班で分担した。アイテムによっては班を超えて全員で取り組んだ。
ただし、イベントはグリーンエコキャラバン隊全員の集大成の日でもあり、当日は、自分達が準備したものだけでなく、すべての出し物・アクションをすべて担当して、いろんなアクションを通して、エコへの思いを伝えていくようにした。そこで、4つの班が、どの時間帯にどの出し物・アクションをするか、その時間ごとの分担(ローテーション)を決めた。
たとえば、サンフラプッチ班は、準備はパネル作成を担当したが、当日は、箸のリサイクル回収も、工作も、環境メッセージも、時間帯によって次々担当したという風に。従って、もちろん、すべての出し物やアクションを、準備した班の仲間の説明を聞いておいて事前に理解しておく必要があった。

Bそして、会場レイアウト。
直径17メートルの吹き抜けホールをどのように使うか。百貨店の装飾担当の方にホールの見取り図を送ってもらって、そこに全員が、それぞれのベストレイアウトを書いて、全体の場でプレゼンしたり、話し合った。そして、それらのレイアウトアイデアを送った上で、百貨店からも最終的な許可を得た。



イベント準備活動

環境ツリー



そして、具体的には以下のような準備をしていった。
まず、環境メッセージカード作り。担当は「Ecoる福娘」班。
来場された方に環境への思いを書いてもらい、木につるす。しかも、リサイクルという点も考えて、牛乳パックを丸くくりぬいて、それに可愛い毛糸を付ける。そこまでを全部で500枚用意した。
なお、このメッセージは当日「環境ツリー」と名付けた木に、七夕のようにつるそうという計画になっていた。しかも、その環境ツリーは、合宿した吉野の山から間伐して切り出されたヒノキの一番上の部分!当日トラックで運んできてもらう予定だった。それまでは、いずやんの所で大切に寝かしてもらっていた。
ただ、最初は、生の木はイベント会場では防犯上、問題外とのこと。一度は諦めかけたが、既に吉野の山で切り出して頂いた方々の思いと生徒達の思いから、何度かの交渉で何とか許された。高さは2.1mまでという制約が付いたし、イベント会場のホールから少し離れた、百貨店の出入り口スペースに置くということだったが、街の人のエコへの思いをつるせる。そのことがうれしかった。


生徒感想

私達の班は主に環境メッセージツリーを作ることが1番の目標でした。最初は班の中でもなかなか意見がまとまらなかったこともありましたが、1つづつ「木はどこからもってくる?メッセージは誰に書いてもらう?何に書いてもらう?」と話し合いました。
私達の活動のテーマは環境問題。だから普通の紙を利用したら、またごみになり何のための活動かわからなくなってしまうということから、牛乳パックを再利用して牛乳パックの裏に市民の人にメッセージをかいてもらいました。(藤永 純)


木の工作準備
次に、工作アイテム作り。担当は「グリーンウーメン」。
イベントでの工作は、2つあった。一つはいずやんが開発した「きのころ」。きのころとは、普通なら捨ててしまう端材を癒しの工作品として有効活用したもの。ひのきの小さな木片を紙ヤスリで削る。それがどんなに素晴らしいかはやってみないと分からないかもしれない。削り出すと辺り一面がすぐヒノキの香りに包まれる。やがて木のぬくもりが手に伝わってくる。ひのきはやわらかく、どんどん削れていくが、別に何かの形にならなくても、ただ削っていること自体で、日々の喧噪から逃れることが出来る。今回のイベントで、木のぬくもりや、間伐材の有効活用を実感してもらうという点では、なくてはならないアイテムでいずやんが奈良からどっさり持ってきてくれることになっていた。だった。
ただ、工作担当班のグリーンウーメンは、自分達独自のアイデアをきのころに加えた。それは小枝工作。微妙に大きさの違う小枝を集めてきて、まずそれを鉛筆の形に削り、その先にはまるで色えんぴつのように色を塗っておく。おしりの部分には留め金を差し込んでおく。小さな子供も喜んで出来るように、あまり難しくなく、そして、危なくないように、そこまでを事前に準備することにした。その数200セット以上。時には、生徒の家に集合して朝から晩まで作った。当日は、この小枝2本をクリップでつなぎ、さらに、手芸用の目玉セットを付けて、可愛い小物にしてもらおうと考えていた。



看板制作
それから、イベントPRの看板作り。アドバシとエコグッズの交換だけでなく、この看板を、神戸阪急百貨店のあちこちに(計8カ所)、イーゼルで立ててもらい、少しでも道行く人に来てもらおうと考えた。これも、グリーンウーメンチームが担当した。
CO2排出削減の内、3.9%を日本の木を使うことで達成しようという林野庁の木づかい運動のポスターがある。可愛いピングーが書いてあって、木づかいは誰にでも出来るエコ活動ですと書いてある。グリーンオフィスとなっていた教室で12月からずっと貼っていたポスターでもあった。最初は、このポスターに、小さく「イベント会場は1階ホール」とだけ書き加える予定だった。
でも、グリーンウーメンチームは、冊子作りの時、アドバシを置いている店のMAP作りで、とてもかわいいイラストを入れて街の人を惹き付けることに成功していた。そのことの自信からか、看板でも、ポスターの所狭しといろんなメッセージを色とりどりに書き込んだ。しかも、8枚のポスターそれぞれにイラストも言葉も変えるなどの手の込みようだった。「STOP!CO2は身近な一歩から」とか「地球が悲鳴を上げている」とか「北極の氷が溶けてしまうよ」とか。
グリーンウーメンチームは、他にも、当日の各コーナーの案内ポスターや、各テーブルの木の案内板も作った。

生徒感想

工作は、木の枝を山から拾い集めてきて皆で休みの日に一人の家に集まり、一つ一つ鉛筆の様に削っていきました。この作業はとても大変なことだったけど、たくさんの量を作った後やイベントでの子供たちの反応に達成感がありました。(西村 美佳)


リサイクル準備

それと、割りばしリサイクル。担当は緑部。王子製紙ネピアが、使用済み割り箸の回収をしていることを調べてきた。王子製紙の回収工程にのせると、古紙やチップヤードに混ぜることで、割り箸166膳でボックスティッシュ1箱分になる。3膳(6本)ではがき1枚、またはA4サイズのコピー用紙1枚になる。…このリサーチ報告を、全体の企画会議で緑部から聞いた生徒達は、イベントでも割りばしを回収して、可能ならば、後輩達に紙を1枚でも残せたらということになった。
そこで、緑部の生徒達は、イベント会場での回収箱を作成すると共に、まずは、イベント前の1週間、学校の食堂に国産間伐材で出来たわりばしと、回収箱を置かせてもらい、後輩達が出した割りばしを実際にリサイクルに出すための作業をしてみることにした。
右端の写真は、ある日の夕方、校舎の裏で、水洗いした後の多くの割りばしを、新聞紙の上で、乾かす作業を一人黙々としていた様子。

パネル制作
そして、パネル。担当はサンフラプッチ班。これも大変な作業だった。いずやんが持っているパネルや、林野庁や環境庁、そして、協賛企業のパネルもあった。それでも、サンフラプッチ班は、それらの既成のパネル以外に、自分達の今までリサーチしたり考えてきたことを、一から手作りでパネルにしようとした。パネルのサイズは横0.9m、高さ2.1mを9枚使うことになった。「私たちの思い」「環境破壊の実態」「森のめぐみ」「森林荒廃」「間伐の大切さ」「自分達に出来る身近なエコ」等々を、自分達が吉野で撮ってきた写真や、リサーチの段階で手に入れた資料等を使って伝えようとした。エコクイズと、その詳細の解説も作った。このパネル作りにはコンピューターを使って、時間もかかったが、グリーンエコキャラバン隊のこの3ヶ月の軌跡と思いを伝えてくれた。

生徒感想

私達の班は、パネル作りを担当しました。パネル作りは、主にいずやんのスライドを引用しましたが、自分たちで調べたことや、自分たちの環境へのメッセージなども付け加え、作りました。
パネル作りをするにあたって、何十回と環境についてのスライドを熟読し、自分達もとても環境について学ぶことができました。
パネル作り以外にも、クイズ作りも担当しましたが、クイズは、自分達で作りながらも、驚くことが多く、環境問題の大切さを実感しました。(鈴置和音)


エコふろしき練習
さらに、ふろしきのたたみ方のポスターも用意した。
ふろしきは、包み方を工夫することで、いろんなものをうまく持ち運ぶことが出来るので、最近環境省をはじめとして、エコバッグに代わる貴重なアイテムとして見直されている。そんな中、協賛企業の日新火災さんから、使用済みペットボトルから再生した風呂敷500枚をもらっていたので、環境省が外国人向けに出している、ふろしきの14種類のたたみ方をポスター代わりに掲示しようということになった。「私、これ全部覚えて、お客様に伝える!」と言う生徒もいて、今回のイベントでも、いろんな物をふろしきで包むエコふろしきコーナーを設けることになった。

他にも、班単位でなく、有志でいろんな準備をする者がいた。たとえば、この活動のコンセプトの元になったアマゾンの「ハチドリ伝説」を、来場する小さな子供達に随時語りかけていけるように、ハチドリの紙芝居作りに挑戦した生徒もいた。





プレゼントグッズ用意
また、当日、アドバシを持ってきた来場者には先着500名様にエコグッズをプレゼントすることにしていたが、そのセッティングを買って出た生徒もいた。
プレゼント用のエコグッズは、きのころのコンパクト版にした。いずやんが送ってくれた1000以上のひのきの木片2つずつに紙ヤスリを付けて、ビニール袋にセットしていく。それを500セット。多くの生徒が輪になってこの作業に取り組んだ結果、朝から半日で仕上げることができた。


プレゼン練習
そして、最後のエコイベントで、みんなが特に大切に考えていたのは、プレゼンテーション。
自分達の思いを社会の人に伝える。そのために、プレゼンは欠かせないと言うことで、このプロジェクトでは、開始間もない頃から、たとえば、PTAのお母さん方を前にプレゼンをしたりしてきた。
ただ、今回は、教室の中で、友達や先生を前にするのとは違い、イベント会場に来た市民を前に行うプレゼンテーションで、今まで3ヶ月の調査研究やキャラバン活動で気付いたこと、感じたことを述べるのだから、力が入らないわけがない。
プレゼンの内容は、パワーポイントで15分はあった。それを、二人セットで、1日8回ほぼ全員が一度はプレゼンをすることになっていた。従って、事前にプレゼンシミュレーションを繰り返した。プレゼンの内容はベースは共有していたが、練習をしてみて、担当者によって、それぞれ一部変更して作り直した。


200以上の工作グッズを、メンバーの家に集合してまで作ってきたグリーンウーメン。
横幅延べ8メートルに及ぶパネルに、手作りのポスターを作ったサンフラプッチ。
500以上の牛乳パックをくりぬいて、環境メッセージを作ったEcoる福娘。
1000本以上のわりばしリサイクルで、後輩たちに紙をプレゼントしようとしている緑部。
500セット以上のプレゼント用ミニエコグッズを袋に入れた有志。
そして、イベント会場で市民を前に環境プレゼンに挑もうと事前のリハを行った18人。

何日にも、何時間にも及んだグリーンエコキャラバン隊の活動も、週末の街の真ん中でのエコイベントで、いよいよクライマックスを迎えようとしていた。


NEXT
最終エコイベント
(そして、いよいよ、グリーンエコキャラバン隊の集大成、その朝が来た。)

グリーンエコプロジェクト Top

チャレプロ(Challenge Social Design Project) TOPへ