2006年度 グリーンエコプロジェクト〜グリーンエコキャラバン隊

吉野合宿

いずやんの環境教室

このプロジェクトはまず環境教室(「森からの贈り物」)から始まった。
話をしてくれたのは「いずやん」こと、泉谷繁樹様。
泉谷さんは、吉野桜井の木材店主でもあるが、たとえば、普通なら捨ててしまう端材を「きのころ」という癒しの工作品として有効活用したり、各地でエコイベントを開いたり、各地で環境学習にも取り組まれていて、環境問題に真正面から取り組んでおられる方。チャレンジプログラムでも、去年、吉野への日帰り環境ツアーでお世話になったが、今年は、このビッグプロジェクトで何度も神戸に来ていただいて、いろんなアドバイスをいただいた。

いずやんの環境教室は、スライドを使って、まず、以下のような地球環境問題全般に関する話から始まった。
1.オゾンホールの減少/2.大気汚染と酸性雨/3.森林の減少(特に熱帯雨林)/4.生物の絶滅種の急増/5.異常気象/6.人口爆発と食料不足/7.水資源の不足/8.地球温暖化
「オゾン層が10%無くなるとすべての生物が死滅する。」「1秒間にサッカー場一面にあたる森林が失われている。」「1万年前は100年に1種の生物が絶滅、100年前は1年に1種の生物が絶滅。しかし、現在は、1日に約100種の生物が絶滅している。」「地球の水を仮に1.5l入りのペットボトル10本分と考えたら、人間が飲めるのは、わずかスプーン1杯分」と言った説明…あるいは、酸性雨で色が変わった朝顔の花の写真、わずか20年で氷河が溶けてしまったヒマラヤの写真等々…
グリーンエコプロジェクトは2学期の定期考査が終了するのを待つようにして始まった訳だが、試験が終わってまだ数時間しか経っていないのに、生徒達は地球環境の深刻な事態に惹き付けられていった。

そして、その後、話は森林の問題へ。…森林は、光合成によって、地球環境問題の原因となるCO2を削減してくれる。ただ、海外の森林をどんどん伐採している一方で、日本の森林は整備されず荒れ放題。混み合った森の木々には太陽の光も充分当たらないため、光合成がうまく出来ずに、CO2の削減も充分出来ない。暗い森には下草も生えず、保水力も落ちる。
そこで、間伐することが必要になってくる。木はとにかく伐ってはいけないというのが常識になっている。確かに、自然林は伐ってはいけない。でも、いったん人間が手を加えた人工林は、定期的に間伐をし、伐採後にまた植えて、CO2をたっぷり吸収する元気な木を育てていかないといけない。そう言う手入れのサイクルを続けることで環境に貢献できるのだ。…
生徒達は時にはチャレプロノートに鉛筆をひたすら走らせたり、時には真剣な眼差しで、時には笑顔で、いずやんの話を聞いていった。

気が付けば、予定の2時間があっという間に経っていた。でも誰も帰ろうとしない。それどころか、10分のトイレ休憩時間でも、いずやんへの質問をしたり、ノートの整理をしたりで、トイレにいく生徒もほとんどいないほどだった。

その後、いずやんが出してきたのは、木の年輪。年輪クイズとかの話の後、生徒達にひのきが手渡された。なんとも言えない香りが森林への想いをかき立ててくれた。




そして、生徒達に、国産の赤ひのきの間伐材で出来た香り高い割りばしが手渡された。最後の話は割りばし。
日本の割りばしの98%が中国産であるが、中国産の場合、大切な自然林を伐採し、その木の中核部分を剥いで作られる。おまけに、漂白剤等を使っている。一方、国産の割りばしは間伐材を利用して、しかも製材端材を有効活用して作られている。
「日本のエコな割りばしを広めることで、間伐も進み、地球環境への貢献にもつながる。」のだ。
しかも、グリーンエコプロジェクトのコンセプトは、環境という大きな問題に対して、身近な生活で実践できる環境保全活動を、広く市民に訴えること。
二酸化炭素(CO2)をたっぷり吸収する元気な森づくりを目指し、そのために、割りばしをはじめとする身近な国産間伐材の使用を訴えていくことを生徒達はこの活動の中心となるアクションの一つと改めて確認した。

そして、環境教室の最後にいずやんが取りだしたのは1冊の本。
本の名前は「ハチドリのひとしずく」。それは以下のようなアマゾンの短い伝説だったが、生徒達の胸に深くしみこむものだった。

ある時、アマゾンの森が燃えていた。  大きくて強い動物たちは我先にと逃げていった。  しかしクリキンディ(金の鳥)と呼ばれる小さいハチドリだけが、そこに残った。  そして、 口ばしに1滴ずつ水を含んでは、飛んでいって燃えている森の上に落とした。  また戻ってきては、水滴を持ってゆく。  それを繰り返すクリキンディを見て、大きくて強い動物たちは、馬鹿にして笑った。  「そんなことをして、森の火が消えるとでも思っているのか」  クリキンディはこう答えた。  「私は、 私にできることをしているの」(アマゾンの伝説から)

要するに、たとえ深刻な問題でも、諦めずに、自分に出来ることからまずはやってみようと言うこと。グリーンエコキャラバン隊が、地球温暖化をはじめとする環境問題に対してどのような志を持って取り組むかを、この時みんなは心の中で共有し、以後、「ハチドリのひとしずくを注ごう!」が合言葉にもなった。

気が付けば、もう下校時間寸前になっていた。解散の後も、きのころ(ひのき端材)を削る者、いずやんに質問を投げかける者、等々、いつまでも、生徒達は帰ろうとしなかった。
結局、予定の2時間をはるかにオーバーして、約4時間ぶっ通しの環境教室。ただ、真冬の夕方とはいえ、教室には熱い空気が充ちていた。そして、この日から、長い熱いキャラバン隊の活動が始まった。


感 想:
*グリーンエコプロジェクトでは、メンバーの掲示板をネット上に設置して、24時間可能な意見交換等をしたり、励まし合ったりしていました。3ヶ月で4000回以上のアクセスを数えた。その掲示板から、この日の声を抜粋します。なお、初日の環境教室の後、一晩で、300件以上の書きこみがあった。

今日は松蔭生活を6年してきたけど新たなメンバーと出会えてとても嬉しかったです。そして何よりもいずやんの話を聞いていてとても色んな事に驚かされ、叉興味を持ちました。合宿やこれからが楽しみです。新しいメンバーとたくさんいい思い出を作っていきたいです。松蔭でみんなで出来る最後のことやから、みんなで頑張ろーね_

ひのきィイ匂いやったね。今ノート復習中。今日心に響いた言葉は、『地球が悲鳴をあげている!!』
今日はすごく勉強になったし、一回目からめっちゃ楽しめたっ。これからの活動が楽しみですッ!いずやん遠いとこからあリがとうございました。熱意がすごく伝わってきました。私も熱くやっていきたいです。ほんまみんなで頑張ろうねーっ!!最高にいいもの作れたらいいな。頑張るぞ。

*この環境教室で、世の中を見る目が代わった生徒も多かった。

おはよう☆昨日は私にとって忘れられない学習をできたと思います。理先生、いずやん大切な時間をありがとう_
今日の朝、読売新聞を見ていたら「アートでエコ!」という記事を発見!!資源ごみがあるれてる中にシュレッダー古紙で作られた服を着ていて、世の中のごみの量を美しさと一緒にアピールしている記事だった。昨日学んだことが今日新聞に載ってる事にビックリしたと同時にごみの多さにびっくしりた。なんとかしてごみを減らさないと!

今日の朝、また新たに「県民だよりひょうご12月号」が新聞に挟まれており、一面に「始めましょう 環境にやさしい 取り組み」という題のついた記事が書かれていました。私はすぐにその記事に目が走り読んでみると、家庭、学校、地域でエコ活動をしようっという呼びかけでした。まさに私達が今からしようとしていることだなぁ〜と思いました。 なんだかこの記事を読んだらうれしくなりました。

*また、今活動には、森林ライターで、日本の森を隈無くまわり、森林をこよなく愛している赤堀楠雄さんも東京から何度も駆けつけてくれたし、掲示板で励ましてくれたり、アドバイスもくれた。

きょう(もう昨日か)のいずやんの授業を一緒に聞いていたライターの赤堀です。さっき、東京の自宅に帰ってきました。
きょうはとってもよかった。神戸まで行ったかいがありました。いずやんも熱かったけど、みなさんも熱かったですね〜。きょうの教室はすごいエネルギーが充満していたと思います。
地球環境は本当にたいへんな状況だけど、みなさんがいずやんの話に聞き入っている姿がとても頼もしくて、なんかうれしくなってしまいました。ウチには1歳半の娘がいるんですが、「おねえちゃんたちが頑張ってくれるから大丈夫」って語りかけたい気分です。


ミッション・リサーチ

初回の環境教室、生徒たちには環境に関するエコミッション(使命)が出された。盛りだくさんのミッションだった。しかし、このプロジェクトの趣旨は、環境問題を街の人たちに訴えていくためにアクションを起こすこと。ただ、人に思いを伝えるには、まず自分が知っておかないといけない。それと、初回の環境教室で、環境破壊の実態を知り、実際に奈良の吉野で、自然の大切さを体感した生徒たちは、初回に渡されたグリーンのチャレプロノートに、冬休みの間に、小さな字でいっぱい調べていった。グリーンエコのネット掲示板でも、毎日のように情報交換が続いた。
エコミッションの内容は以下。

Mission1:
『地球環境の現状を踏まえた上で、かけがえのない森を守るために、なぜ、アドバシ(アドバシとは、国産の間伐材で出来た割りばしだが、わりばしの袋に企業の広告を入れてその広告収入で中国産の割りばしとの価格差を埋めようという(NPO)エコメディアファンデーションが開発したアイデア商品)なのかについて以下の項目をリサーチせよ!』
(1)「環境」破壊の実情(地球温暖化・生態系の破壊・CO2・水使用量・緑地面積等々)
(2) 吉野合宿で気付いたこと
(3) 「樹木」の大切さ(森の恵み)と、「日本の森林」(荒廃)の状況
(4) なぜ間伐なのか
(5)アドバシとは

Mission2:
『環境を守ることの大切さを表現せよ!』
(1)「アドバシの袋」を、環境メッセージを込めてデザインする。(両面)
(2) 学校や家庭や会社で身近にすすめられる環境を守る行動を考え、市民に訴えるメッセージCMを作る。

Mission3:
『日本の森を元気にすることの大切さを、アドバシを通して市民に広げる具体的なアイデア・活動計画を立てよ!』


ネット掲示板から:
最近地球環境にかなり敏感になッた今日この頃です。今日ふと駅の掲示板を見たとき、12月は大気汚染防止推進月間ッて書いてあるポスター発見ッ!いろんな所でいろんな人が地球環境について動いてるんだなぁ-ッて思った。

今テレビのとくダネで地球温暖化について特集しています。2040年に温暖化の影響で北極の氷が全て消滅していましうと話していました。溶けた事により動物が溺れそうになっていた映像も流れていました。海面上昇により水面住宅が増えていくかもしれないと話していました。
とくダネを見て自分にとって何が出来るか?を凄く考えさせられました。グリーンエコを始めてから環境問題にもっと取り組んでいこうと新たに思いました。
機会があれば見ていないみんなにとくダネの映像を見せたいです!

最近雨多いですね〜。最近雨を見ると「この雨,酸性雨なんかな〜?」とか考えちゃってます。

酸性雨と言えば、理科の先生に教えてもらって、酸性雨の実験もした。この実験では、本当に、酸性であることを試験紙の色で実感。また、みそ汁の残りを捨てることでどれだけ水質汚染をするかも実験した。そして、知れば知るほど、調べれば調べるほど、地球が危ないと実感していった。


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