2006年度 | グリーンエコプロジェクト〜グリーンエコキャラバン隊 |
4時間に及ぶいずやん(泉谷繁樹様)の環境教室から2週間後、今度は知識だけでなく、森の恵みや、逆に荒廃した森林を自分の足と目で確かめて、さらに環境への意識を高め、今後の活動に生かすため、実際に森の中まで行って合宿をした。 |
早朝に神戸を出発したバスに、奈良県桜井市からいずやんと、森林ライターの赤堀楠雄さん、吉野の山守の娘民辻佳子さん(現在は、NPO信州フォレストワーク理事。愛称たみちゃん)が合流された。赤堀さんは東京から、たみちゃんは信州から、この合宿のためだけに駆けつけてくれた。 桜井市から川上村の森までは、さらに1時間以上あったが、バスの中でいずやんが、環境教室以降何か変化があったかを問いかける。生徒達も、「環境のことが身近に感じられるようになった。」「買い物にエコバックを持っていくようになった。」「家族や友達と話すときに箸のことを話題にしている」などと答えた。 川上村に到着した後は、森と水の源流館の木村全邦さんの案内で、普通は入れない吉野川源流−水源地の森へ向かう。 |
まずは山の神に |
どんどん森の奥へ |
人工林の中へ |
途中、いろんな発見があった。落ち葉の中に光る黒い木の実を手にしたら、実はそれが野生の鹿のまだあったかい糞だったり、苔をルーペで見ると、そこには緑の幻想的な世界が広がっていたり。 |
野生鹿の糞 |
ルーペで |
苔の世界 |
他にも、多くのことに気付いた。その都度、立ち止まっては輪になって、たみちゃん・いずやん達に多くのことを教えてもらった。馬が食べると酔って足がなえるという馬酔木の枝葉をちぎって口にしてみたり、崖っぷちに身を乗りだして、落ち葉が腐葉土に変化していく途中の土壌に触れてみたり…… |
そこら中で立ち止まり |
馬酔木 |
腐葉土進行中 |
その奥にはさらに多様な森が、多様な生物の宝庫となっているのが実感できた。
そして、気が付けば、そこは森林のまっただ中。見上げると、はるか上まで伸びている木々…… |
荒れ果てた人工林 |
枯れた立ち木 |
源流の森到着 |
源流の森 |
そしてやっとたどり着いたのは、吉野川の源流の森。 ここはここまで通ってきた人工林と違い、永い間、人の手が入らず、自然の循環の中で残ってきた自然林。大小様々、種類も豊富な木々が川の周辺で力強く林立していた。時には地表に出た根が岩を抱え込むように伸びていたり、下草やツタなどが太い幹に巻き付いていた。 |
源流の自然林 |
源流の自然林 |
そして、川の水がきれいなことにも驚いた。みんな、源流の森の水を飲んだり、大自然の感動を俳句に書いた。 『合宿は実際に自然の山に入って、専門家の方の話を聞いたり、間伐がされていないとどうなってしまうのかを見たりすることができて、本当にすばらしい体験をすることができたと思っています。吉野は空気もおいしいし、山の奥まで歩いて湧き水を飲むのもおいしかったです。』(グリーンウーメン班・H) |
源流の水を飲む |
エコ俳句 |
源流の森の岩場で |
最後に「元気ぃ?…」「もりもり!」と言うグリーンエコキャラバン隊のかけ声と共にこの森をいったん後にした。森には伐ってはいけない原生林の森と、伐っていかないといけない人工林の森がある。そのことが実感できる源流ツアーだった。
宿舎に戻ってからは、森と水の源流館の木村全邦さんのレクチャー。食事の後は、今度は、たみちゃんがスライドまじりに、今日の源流ツアーを振り返ってくれた。 | スライドで振り返り |
そしてその後、1泊目の夜は、電気を消して、ローソクを囲んで過ごすキャンドルナイトを実施。みんなで、なぜ、このグリーンエコに参加して、この合宿で何に気付き、何を思い、そして、これからどのようなアクションを起こしていくかを一人一人が語っていった。中には感極まって泣き出す者もいた。
『合宿に参加して、今の森林の状況を実際に森の中に入って見て、本当に“危ない”って実感できました。 最後には、国連の地球環境サミットでの、12歳の少女が国連の各国代表の前で訴えたわずか6分間のスピーチの一部をみんなで回し読みした。 『私の心に残ってるのは、キャンドルナイトで、朗読した本の言葉です。今の大人とか、私達の時代には、まだ、そんなには変わらないだろうけど、私達の子供や、私達の孫とかの時代には、今では考えられないような、状態になっているかもしれない。でも、私達はついつい今が良ければ。と考えてしまいがちです。環境問題は、本当に深いと思いました。』(掲示板から) |
そして、最後にギターを弾きながら、「約束」という歌をみんなで歌った。 |
キャンドルナイト 元気、モリモリ! |
2日目は、樹齢250年以上の吉野杉の林立する森に向かった。 バスを降りてしばらく歩いたら目の前に現れたのは、いままで見たことのないような光景。みんな、言葉を失った。 |
先端が見えない |
幹の太さは? |
3人がかりでも… |
どの木々も、見上げようにも、その先端が見えないほど高いし、みんなで抱え込もうとしても、3人がかりでやっとという感じだった。 |
荒廃した人工林 |
間伐された人工林 |
上の左の写真は、1日目に探索した、荒れ果てた人工林。間伐もいい加減で、伐った木は放置状態、その後の間伐もままならず、木々は細長くうっそうと茂り、光も届かず、崖崩れも発生。 右の写真は、2日目に行った人工林。ちゃんと間伐手入れをして、光が地表まで届き、300年の杉が美しく育っている。 |
そして、地面には多くの植生が保たれていた。そのことをかみしめるように、湿気を含んだ下草を踏みしめながら斜面を登っていって、大きな切り株にも立ってみた。 |
小枝グッズ |
樹齢300年の人工林を見た後は、吉野川の河原に出て、焚き火をしながら源流館の館長辻谷達雄さん(たっちゃん)の話を聞いた。生徒達の心に深く刻み込まれた言葉は……。 『最初は、わざわざ合宿をするほどでもないんちゃうんと思いながらも合宿に参加すると今まで18年間生きてきて知らない(気付かない)ことばかりを学びました。 一番印象にのこっているのは、森が人間を守っている!!ということを知った時です。最近人間が森を守ろう〜♪とよく呼びかけ、人間がいなければ森は守れないんだ!という感覚があったのですが本当は森が人間を守ってくれている。こんな大切なことを18年間もしらなかったなんて恥ずかしかったです…。』(藤永 純) 『合宿では、本当に考えさせられました!ちょっとかじった位で、満足していた自分がすごく嫌になりました。 たっちゃんが言ってた、人間が自然を守るんじゃなくて、人間は自然に守られているという言葉は残りました。 そうです。人間は、自然に守ってもらっているのに、その自然のありがたさを忘れて、どんどん環境破壊をしていって、そして、今になって、自然を守ろうと言い出して、そのくせ、裏では全然自然守ろうともせず、大量のゴミを出したり。ほんとに、人間っていやだな〜と思ってしまいました。』(鈴置和音) そこでは、小枝を使ったグッズを辻谷さん達からプレゼントしてもらったが、この小枝グッズは、2ヶ月後、イベントでの工作に生かされることになった。 |
その後向かったのは、吉野のわりばし工場。最初に、割りばしの材料となるひのきの端材を見た後、工場の中へ。 そして、最後は、いずやんの家へ全員で向かった。床も壁もすべて木で出来たすてきな家を、キャラバン隊全員が1階へ2階へと歩き回った。 やがてバスが、神戸に着く直前、バスの中で、ギターに合わせて、全員でまたあの「約束」を歌った。真っ暗な青谷川で分かれる時、元気ィ?モリモリィ!!この合言葉で解散した。 |
割りばしの材料 割りばし製作 薪ストーブ きのころ |
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