| 今月のおすすめ本 |
2007.10 (有吉)
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アート関連本を紹介し始めて半年ほどたちました。今月はひとつかしこまって(?)西洋美術史の本を紹介してみます。 |
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| 20作品の中には、ゴヤの『我が子を喰らうサトゥルヌス』、フランシス・ベーコンの『ベラスケス<教皇インノケンティウス十世像>による習作』など、見るからに怖い絵もありますが、一見しただけではどこが怖いのやらよくわからないものもあります。しかし文章をよみながら細かくその絵を見ていくと……怖い、というものも含まれています。 序盤の章はやや説得力に欠け、強引に怖いと決めつけられたような印象も受けましたが、中盤からの章はかなりぞっとさせてくれました。 全部を読んだ感想は、やはり美術史は歴史なんだなぁ、ということでしょうか。 絵は感性で感じとるもの、ということももちろん言えますが、それは好き、嫌い、なぜだか惹かれる、くらいの域を超えません。やはり現代美術といわれるもの以前の作品については、それぞれの時代の視覚表現の歴史的産物として作品を観てこそ「おもしろい」のではないでしょうか。 |
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歴史を紐解くのに重要なことは想像力を働かせること!グリューネヴァルトの『イーゼンハイムの祭壇画』の章を読んでみて下さい。著者の想像力はすごいですよ。 |
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グリューネヴァルト『イーゼンハイム祭壇画』の一部
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| 時は聖アントニウス病《ペスト、ハンセン病と並ぶ中世三大疫病のひとつ。痙攣性の発作や、手足の末端の痛みと腫れの症状があり、腫れはその後壊疽(えそ)へと進行し(つまり腐る)、死にいたる。》が猛威をふるう中世。この病におかされたものは悪魔の象徴として差別され、住む家を追われ、死に場所を求めて放浪するよりほかない。 そのような中、聖アントニウスの聖遺骨に祈りをささげて病から回復したという患者の奇跡が伝えられ、イーゼンハイム(現フランス北東部、ストラスブール近郊)の聖アントニウス修道会へも多くの患者が巡礼した。その聖アントニウス修道院の祭壇に掲げられた扉絵として、最初に患者らが目にした絵こそ、このグリューネヴァルトの『イーゼンハイムの祭壇画』であった、 というものです。ここまでは一応史実。 |
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これについて著者は、読者を、聖アントニウス修道院へ巡礼するある患者のひとりであると仮定させ、巡礼をともにする仲間が、当初の五人から一人減り、二人減りする様子を、そして最後には独りになって瀕死のさなか這うように修道院にたどり着き、祭壇画を目にするまでの地獄の旅路をドラマ仕立てで語ります。ここは圧巻です。例えばこうである、という著者の想像なのですが、本当に怖い。実際に読んでみて怖さを味わってください!
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